会社関係訴訟とは何か?

会社関係訴訟は,主に会社内部での争いが訴訟になったものです。

主な種類

種類はたくさんありますが,主なものは次のとおりです。

1 取締役に対する責任追及訴訟

2 株主代表訴訟

3 第三者の取締役に対する責任追及訴訟

4 株主総会決議取消・不存在確認・無効確認の訴え

5 取締役会決議無効・不存在確認訴訟

6 新株発行無効・不存在確認の訴え

7 計算書類・株主名簿等閲覧等請求訴訟

8 株主権確認訴訟

取締役に対する責任追及訴訟

取締役は会社に対して善管注意義務や忠実義務を負って負います。取締役がこれらに違反して会社に損害を与えた場合,会社は取締役に対して損害賠償請求をすることができます。例えば,取締役が明らかに会社に不利な取引を行い,会社に損害を与えた場合,会社は不利な取締役を行った取締役に対して損害賠償請求をすることができ,もし取締役が任意に賠償をしない場合は,会社は取締役に対して損害賠償請求訴訟をすることができます。

株主代表訴訟

取締役が違法行為を行い会社に損害を与えたが,会社が取締役に対して損害賠償請求訴訟を提起しない場合に,株主が会社に代わって訴訟をすることができます。

会社を代表するのは代表取締役ですが,代表取締役とその他の取締役とは仲間であることが多く,馴れ合うおそれがあります。そのために,株主が会社を代表して違法行為をした取締役に対して損害賠償請求訴訟をすることができます。

第三者の取締役に対する責任追及訴訟

取締役が職務を行うについて悪意又は重大な過失があり,それによって会社以外の第三者に損害が生じた場合,その第三者は違法行為をした取締役に対して直接損害賠償請求訴訟をすることができます。

株主総会決議取消・不存在確認・無効確認の訴え

株主総会が適法に招集されなかったり,決議の内容が無効であったり,そもそも総会が開かれていないのに議事録だけが存在する場合などに,これらの訴えを提起することができます。

取締役会決議無効・不存在確認訴訟

取締役会決議がなされたが無効事由がある場合やそもそも取締役会が開かれていないのに議事録だけが存在する場合などに,これらの訴えを提起することができます。

新株発行無効・不存在確認の訴え

新株発行がなされたが無効事由がある場合や新株発行の登記がなされたがまったく中身がない場合などに,これらの訴えを提起することができます。

計算書類等閲覧等請求訴訟

株主及び債権者は,株式会社の営業時間内は,いつでも,計算書類等の閲覧・謄写請求をすることができます。しかし,会社がこれの請求を拒んだ場合に,株主及び債権者は会社に対して,計算書類等の閲覧・謄写を求めて訴訟をすることができます。

株主名簿閲覧等請求訴訟

株主及び債権者は,株式会社の営業時間内はいつでも,請求の理由を明らかにして,株主名簿の閲覧及び謄写を請求することができます。

これに対して,会社は,前項の請求があったときは,株主・債権者の権利行使に関する調査以外の目的等で請求を行った時などの場合を除き,これを拒むことができません。

株主・債権者は,会社が正当な理由がないのに開示を拒んだとき,開示を求めて訴訟をすることができます。

株主権確認訴訟

株主間において,株式の帰属について争いがある場合,株主だと主張する者は名義上の株主に対して株主権確認の訴えを提起することができます。いわゆる名義貸しの場合には,株主名簿上の株主と実質上の株主がずれることがあります。