離婚する際には決めごとがたくさんある

離婚する際には,決めなければならないことがたくさんあります。子供の親権者を誰にするのか,養育費をいくらにするのか,夫婦の財産をどのように分けるのか,住宅ローンなどの借金がある場合,ローンや自宅はどうするのか。すべて夫婦で円満に解決できればそれが一番です。しかし,離婚する際になかなか夫婦間で話し合いをするのは難しい場合が多いでしょう。また,口約束だけだと,後でそのような約束はしていないと言われてしまうことも残念ながらよくあることです。

離婚の流れは概ね次のとおりです

離婚協議             

話し合いで,子供の親権者,養育費,財産分与などをすべて決めることができれば,その合意内容を書面にして,離婚をすることができます。

離婚調停

話し合いで離婚がまとまらない場合,例えば,妻は離婚したいと言っているが夫が離婚に反対の場合,離婚すること自体には合意できているが親権者で揉めている場合など,話し合いですべての合意が出来ない場合には,家庭裁判所において離婚調停を行います。1か月に1回程度,調停が開かれますので,確実に話が進んでいきます。

離婚裁判

調停をしても話がまとめらない場合は,最後に離婚の裁判を行います。離婚を望む方が,相手方に離婚原因があることを証明する必要があります。ただ,相手方も離婚すること自体に合意している場合は,離婚原因の証明はいりません。

離婚原因

①不貞行為(いわゆる浮気です)

②悪意の遺棄(正当な理由なく配偶者との同居を拒む場合,同居しているが生活費を入れてくれない場合など)

③3年以上の生死不明

④配偶者が強度の精神病にかかり,回復の見込みがないこと

⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由(性格の不一致,暴力,暴言など)

実際の裁判でよく問題になるのは,①②⑤です。当事務所では,今まで離婚事件を数多く取り扱ってきました。その経験をふまえて,離婚協議,離婚調停,離婚裁判のすべての過程で,依頼者と一緒に問題を解決していきます。

未成年者の親権者

離婚した後は,夫婦のどちらかが親権者にならなければなりません。二人とも親権者になることはいまのところできません。

これも話し合いで決めますが,どちらも譲らない場合,最後は裁判所が決めることになります。その際,子供にとって誰が親権者になるのが一番良いのかという子供の福祉の観点から決めることになります。

弁護士が代理人に就いた場合,依頼者が親権を望む場合,親権者にふさわしい事情,証拠を積極的に裁判所にアピールすることになります。 なお,親権者が子供と一緒に暮らすことがほとんどですが,例外的に親権者と監護権者が別れることもあります。例えば,親権は夫が持つが,妻は監護権を持ち実際に子供と暮らすのは妻であるということもあります。

子供との面会交流

親権をもたない親が子供に会うことを面会交流といいます。親が子供に危害を加える場合などを除いて,面会交流は通常認められます。ただ,年に1,2回という面会交流もあれば,月に1回,泊まりも含むという交流もあります。子供にとってどのような面会交流がよいかという観点から決めていくことになります。

慰謝料

暴力や不貞行為により,相手方に肉体的・精神的に損害を与えた場合,慰謝料を請求することができます。金額は一律ではなく,暴力や不貞行為の内容により金額は増減します。一般的には100万円から300万円ほどです。

財産分与

離婚する際に,夫婦が持っている財産を分けます。これを財産分与といいます。例えば,夫が1000万円の財産を持っており,妻が600万円の財産を持っている場合,合計1600万円を分けるので,800万円ずつもらうことになります。よって,妻が夫に残り200万円を請求できます。しかし,実際には財産は預金や現金だけでなく,不動産や自動車,株式の場合もあり,その時価の算定や実際にどうやって分けるのか(不動産を二つにわけることはできません),など決めなければならないことがたくさんあります。

養育費

子供を実際に養育する親(妻であることが多い)が他方の親(夫であることが多い)に対して,子供が成人するまでの養育費を請求することができます。実際の養育費の金額は,妻の収入,夫の収入により算定基準にしたがって決まることになります。

よく問題になるのが,大学の教育費用を請求できるか,です。基本的な考えは,親と同程度の教育を受けることができるということなので,両親が大学卒業していた場合,子供も大学の教育費用を養育費として請求できる場合があります。しかし,私立と国立では授業料も異なり,また理系と文系でも授業料が異なるので,揉めることが多い分野です。

婚姻費用(生活費)

夫婦が別居している場合,離婚するまでの間,一方(妻であることが多い)が他方に対して生活費を請求することができます。これを婚姻費用の請求といいます。 これも養育費と同様に妻の収入,夫の収入により算定基準にしたがって決まることになります。離婚しようとしている夫婦間において,夫が別居している妻に対して,生活費を渡さない場合が残念ながら多々あります。この場合,妻は夫に対して婚姻費用を請求することで,その後じっくりと離婚の話をすることが可能になります。

浮気相手への損害賠償請求

夫が愛人と浮気をした場合,妻はその愛人に対して損害賠償を請求できる場合があります。愛人が,夫が結婚していると知りながら夫と肉体関係を持った場合です。

妻が愛人を相手に損害賠償請求をした場合,愛人は2つの場合に,損害賠償を免れることができます。

1つは,夫が婚姻していると知らなかった場合,また知らないことに過失もない場合(夫が自分が独身だと言って愛人に近づいた場合です)

2つは,夫婦関係が既に破綻していた場合です。

当事務所では,今までこの手の裁判を多く手がけており,損害賠償をする側の代理人なったことも,愛人側の代理人になったこともあります。