借金の整理方法
1 任意整理
2 民事再生
3 自己破産
任意整理
弁護士が債権者と交渉して,長期の分割払いの契約をします。
通常,将来の利息をゼロにするので,高額の利息を支払わなくてよいというメリットがあります。
ただし,借りた元本が減額されることはないので,元本を全額返済しなければなりません。
民事再生
債務の80%をカットして,残りの20%を3年程度の分割払いで返済します。
例えば,600万円の借金がある場合,20%の120万円を3年の分割払いで返済するので,月々の支払いは3万3334円になります。
ただし,支払金額を100万円未満にすることはできません。借金が400万円の場合,20%は80万円ですが,それでも最低100万円を3年の分割で支払わなければなりません。
この制度は,借金の80%を支払わなくて良いので,一部破産という性質があります。
任意整理するには借金が多すぎるが,20%に減額してもらえれば分割で返済できるという場合にこの制度を利用します。
自己破産
借金があまりにも多く,分割払いでも返済することが出来ないときに,自己破産を選択します。3年程度の分割払いで返済できる場合は任意整理を選択し,そうでないときは自己破産を選択することが多いです。借金が0になるので,これから生活を再建できるというメリットがあります。
以下,破産制度について説明します。
破産制度
破産制度は,破産手続と免責手続の二つに分かれます。破産手続とは簡単にいえば現在の債務者の経済的状況が支払不能状況であると裁判所が認定する手続で,免責手続とは,破産者が債権者に破産手続上配当できなかった債務の弁済を免除する手続です。
管財事件と同時廃止事件
破産手続開始決定がされると,債務者に財産がある場合には,原則として,裁判所が選任する破産管財人が財産を管理し,債務者の財産を金銭に換え(換価),その金銭を平等に債権者に配当します。このように,破産管財人が選任される事件を「管財事件」といいます。
これに対して,債務者の財産が少なく,これを換価しても破産手続の費用にも足りないことが明らかな場合には,破産管財人を選任せずに,破産手続開始決定と同時に破産手続を終了させることがあります。このような事件を「同時廃止事件」といいます。大部分の破産事件が同時廃止事件となっています。
破産した場合の不利益
破産手続開始決定がなされると,次のような効果が生じます。
- 郵便物はすべて破産管財人に届けられて開封される(破産管財人が選任された場合に限られる)。
- 官報(政府が発行する新聞のようなもの)に氏名・住所が記載される。
- 裁判所の許可がなければ居住地を離れる事が出来ない。
- 一定の職業に就くことが出来ない(資格制限)。
- 例えば,弁護士,司法書士,公認会計士,警備員などにはなれない。その他建設業や宅建業の許可,建築士事務所の登録などは抹消される。
- 7年程度,銀行融資・クレジット会社からのカードの発行は受けられなくなることがある(事実上の不利益)。
なお,破産しても,選挙権が無くなることはありませんし,戸籍や住民票に記載されることもありません。
免責決定がでるかどうか
裁判所が免責決定を出すかいなかに際して,免責不許可事由の有無を判断します。免責不許可事由がなければ裁判所は免責許可決定を出します。免責許可決定が出ると,借金の支払義務が免除されます。
免責不許可事由は,法律で決められています
法律で決められた免責不許可事由のうち,よく問題になるものは,次のとおりです。
- 浪費やギャンブル等によって多額の借金をした場合
- 財産を隠匿したり,財産を散逸させた場合
- だまして金を借りたり,虚偽の申告をしてクレジットカードを作って買物をした場合
- カードで高価な商品を購入し,その商品を安く売却して現金化した場合など
しかし,このような免責不許可事由に当てはまる行為があったとしても,行為の悪質性の程度や本人の反省の度合い,破産者の生活や収入の状況等の様々な事情も考えた上で,裁量で免責を認める場合もあります。これを裁量免責といいます。
当事務所では,個人破産はもちろん,債権者が100人以上いる会社破産も経験しております。また,今までのすべての依頼者が免責許可決定を受けております。安心してご相談下さい。